検体中のタンパク質を高感度に同定・相対定量するサービス
サービス概要
従来のプロテオーム解析は分析深度が低く、3,000~5,000種類のタンパク質しか観測することができませんでした。これでは様々な分野で着目されることの多いキナーゼや転写因子などの微量タンパク質を観測するには不十分であり、さらなる分析深度の拡大が期待され続けてきました。
本受託サービスの解析を担うかずさDNA研究所では、分析深度、定量性に優れたDIAプロテオミクス技術を独自に最適化し、さらに最新鋭の質量分析計で測定することにより、哺乳類培養細胞から最大10,500種類のタンパク質を同定・比較定量を行えるシステムを構築しました。本サービスではこの最新鋭のシステムを用いた世界最高峰のプロテオーム解析を提供いたします。
プロテオーム受託解析の強み
使用機器
Orbitrap Exprolis 480, Q-Exactive HF-X, Orbitrap Astral (Thermo Fisher Scientific社)
timsTOF HT (Bruker社)
※本サービスはタンパク質配列が解析されている生物種を対象としたものです。
分析深度
MS1で検出されたペプチドピークを選択してMS2解析を行うのではなく、MS1の全m/z レンジを細かく区切りながら連続的にMS2を取得します。これによって、ピーク強度の低いペプチドを含めてMS1で観測されたすべてのペプチドピークに対してMS2を取得できるため、微量タンパク質・ペプチドの検出が可能で分析深度の高い測定が可能です。
定量性
定量解析では実際にペプチドの同定に使われたMS2ピークを用いて定量値を算出するため、DDAプロテオーム解析のように分子量が類似するペプチドが同じ溶出時間に検出されても区別することが可能であり、ピークの取り間違えが起きづらく、正確な定量値を導き出すことができます。
測定メニュー | 観測できるタンパク質の数 (目安) |
用 途 |
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簡易DIAプロテオーム解析 | 7,000~8,000 (他社受託サービスレベル) |
|
標準DIAプロテオーム解析 | 8,000~9,000 | 疾患、薬剤、環境などによるタンパク質変動を詳細に捕えるための、より包括的なタンパク質解析 |
高深度DIAプロテオーム解析 | 9,000~10,500 | さらにキナーゼや転写因子など微量タンパク質をも対象とした包括的なタンパク質解析 |
高深度DIAプロテオーム解析を実施する意義
上図は高深度DIA プロテオーム解析によって解析されたHEK293細胞中のタンパク質発現量のダイナミックレンジを示しています。本解析ではHEK293細胞から10,000種類以上のタンパク質を安定して観測することができ、世界最高峰のプロテオーム解析結果を得ることができています(同定の閾値:Protein FDR < 1%, Precursor FDR < 1%)。また、低発現なタンパク質として知られるキナーゼならびに転写因子の観測数は分析深度が拡大されるとともに増加し、高深度DIAプロテオーム解析ではキナーゼが574種類、転写因子が1655種類まで観測することに成功してます。
様々な生命現象のマスターレギュレーターが含まれる微量タンパク質まで網羅的に解析するには当受託の高深度DIA プロテオーム解析に大きなアドバンテージがあります。